勧誘2011年10月30日 22時30分

なんで今頃宗教の勧誘が……って思ったけど、二つの意味で今がチャンスなんだね。
ひとつは大震災、原発事故、円高不況ってみんなが先行きが見えなくて不安になってる。
もうひとつは定年退職みたいにひとつの大きな区切りが来て、生活が大きく変わって、それに適応できずに不安なになっている人がいる。
これは、転校とかクラス替えとか、進学して新しい学校生活が始まったときとか、とくに就職みたいに環境が激変するときも同じ。
新しい環境になじめずに不安を抱えている人って案外多くて、そこにカルトがつけ込んでくる。


みんなにも参考になるだろうから、書いてみよう。

今日、もとの生徒が10歳年上っていう俺の知らない女性と二人で訪ねてきて仏教系の宗派への勧誘を受けた。
先日の演奏会で会ったときに、家に遊びに行っていいですかって言われて、もちろんいいよって答えたんだけど。
その後のやりとりの中で、これは例の勧誘かなって思った。

理由は二つ。
一つは、自分ともう一人で行くって言っているのに、誰と来るかを話さなかったこと。
生徒が誰かとうちに遊びに来るのなら、「○○ちゃんと行きます」って名前を言うのが普通。同じ学校なんかで、俺が知らない子だったとしても、どんな関係の子かくらいは話すはず。

もうひとつは、俺の演奏会に来ていた先生が、やはり会場で声をかけられて家に生徒を招いたら宗教の勧誘でがっかりしたって話していたこと。


だから車で駅まで迎えに行って、二人が乗ってきたときにただ名前だけ紹介されたので、これは例の勧誘だって思った。


まあ、俺はそんな勧誘に乗る心配はないし、いま、あちこちでそんな勧誘の話を聞くから、どんな勧誘の仕方をするか興味があったので、ぜんぜん気がつかない振りをして家に招いた。

で、はじめは近況報告や世間話から始まって、なかなか本題に入らないから、俺の方から話題を宗教の話しに持っていった。
そしたら、ようやく宗教の勧誘の本を取り出して「実は私は信者なんです」って話し始めた。

……この時点で、この宗教はアウト。
本当にその教えが正しくて、その内容に自信を持っているのなら、はじめから宗教の話しをすることを伝えて、堂々と勧誘すべき。
それを、生徒が先生の家を訪ねるみたいによそおったり、友達が食事に誘うような形を取ったりするっていうのは、そうしなければならない理由があるから。
こういう「だまし討ち」をするような宗教は信用してはいけない。
もしも、自分の親友に誘われて食事に行ったらこういう勧誘だったっていう場合は、即刻、友達であること自体をやめるべき。そして、次の被害者を出さないために、その友達にそういう誘い方をされたっていう事実を周りの子に話すべき。
急進的なカルトは人間関係を破壊する。
信じている自分自身はそのカルトの中で親切にされ、共通の話題・共通の空間に身を置くことができて、自分の居場所を確保して安心できるかもしれない。だけど、その代償として外の世界を失う。場合によっては家族そのものを失う。

俺は、自分ではなんの宗教も信じていないけれど、心のよりどころとしての宗教の存在自体は肯定している。
でもそれは、社会という存在からはみ出したり、社会と敵対するものであってはならない。
宗教はあくまでも人のためにあるべきものなんだよ。
だから、何らかの理由で心が不安定だったり、ストレスを抱えていたり、人に言えない劣等感を感じていたりする人が安息を得るために何かの宗教にすがるのは良いと思っている。
でも、その対象は「だまし討ち」をするような宗教であってはならない。



今日、二人が持ってきた本をパラパラとめくりながら流し読みをし、二人の話を聞いてみると、歴史的な時間関係に整合性のないところや、説明の中に矛盾するところがあったり、二つの事象を無理にこじつけていたりするところがいくつもある。それについて突っ込んでいくと、「この方のおっしゃることに間違いはない」としか説明ができなくなってくる。それでも突っ込むと、「信仰は理屈でするものではない」という。
今回の原発問題について書かれた宗教誌も見たけど、そこで引用されている資料は、その説明に都合のよいものだけで、ほかにも違う結果を出している研究がいくらでもあるのにそれについて一切触れていない。
今の国際関係についても、明らかに説明に無理があり、現状に合っていない。
……これらについて、二人はこの資料に書かれている以外の情報をまったく知らなかったし、国際関係についても理解していない。
……典型的なカルト集団の情報パターンだよ。
カルトから与えられる情報を盲目的に信じて、それ以外の情報を持っていない。
カルトじゃなくても、宗教新聞しか読んでいないっていう人はこういう状況になりやすいから気をつけな。
情報統制なんてしなくても、盲目的な信者にしてしまえば、自分が信じる情報しか受け付けなくなってしまうんだよ。


こうなってしまった人を、その信仰から抜けさせるっていうのは非常に難しい。
オウム真理教の信者がいまだに麻原を信じているのがその典型例だよ。


自分の彼や彼女がこういった宗教の信者になってしまった場合、選択肢は二つしかない。
……自分もその信者になるか、別れるか。

自分が信者になれば、彼・彼女と一緒にいられる。それは安息の世界かもしれない。しかし、大切なものをいくつも失う。
別れれば、彼・彼女自身を失う。

どちらもつらい選択だけど、それを避けて曖昧なままにすれば、いずれそのつらさが利息を付けて帰ってくる。
できれば、そういう事態になる前に止めるのがベスト。


困ったときには相談に乗るよ。

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